病気や負傷などのために左手だけで演奏活動を続けている左手のピアニストとオーケストラの演奏機会を増やそうと、日本センチュリー交響楽団が「左手のピアニスト×日本センチュリー交響楽団 世界初演プロジェクト」を立ち上げ、クラウドファンディングを呼び掛けている。募金の期限は2021年7月5日(月)23時まで。
返礼品の一つは、2018年11月に「第1回左手のピアノ国際コンクール」を開催した箕面市特別大使でもある左手のピアニスト智内威雄(ちない・たけお)さんが、コンクール開催地の箕面をテーマにした新曲のピアノ独奏(世界初演)をオンライン配信するというものだ。
「箕面山、瀧の谺(こだま)~箕面滝、残響、緑~」と題した新曲を作曲したのは、宝塚市在住の作曲家で日本センチュリー交響楽団アンバサダーも務める近藤浩平さん。第1曲は箕面滝、第2曲は滝道をイメージした曲という。近藤さんは5月14日(金)からOSシネマズ神戸ハーバーランドで公開される「にしきたショパン」(竹本祥乃監督作品)でも作曲を担当している。
ピアノ独奏を披露する智内さんは1976年生まれ。ピアニストとしての研鑽を積んでいた留学先のドイツで2001年、局所性ジストニア(指などの筋肉収縮を引き起こす神経疾患)を右手に発症。リハビリを続ける中で恩師の勧めでスクリャービンの前奏曲と夜想曲、バッハ・ブラームスのシャコンヌなど左手の音楽世界と出会い、2003年から左手のピアニストとして音楽活動を再開した。2010年からは演奏活動をつづけながら、埋もれてしまった左手のためのピアノ作品の発掘・復興や左手を主とする片手演奏の認知向上と普及振興にも取り組んできた。
智内さんは「左手のピアニストたちとオーケストラが共演できる機会を増やすためにも、新しい左手のピアノ協奏曲の誕生が必要です」とプロジェクトの意義を強調する。
豊中に本拠を置く日本センチュリー交響楽団の望月正樹楽団長は「日本センチュリー交響楽団は、私たちの時代、地域独自の文化創造、持続可能な地産地消の文化・芸術・教育活動、同時代の私たちが参加できる創造活動を、皆さんと一緒に進めたいと考えています」と話す。
「左手のピアニスト×日本センチュリー交響楽団 世界初演プロジェクト」の詳細は下記URLをクリック! プロジェクトサイトには左手のピアニストの演奏動画も。
https://shopping.nikkei.co.jp/projects/centurylefthand
なお、第1次世界大戦で右手を負傷した大ピアニストの名を冠した「ウィトゲンシュタイン記念 第2回左手のピアノ国際コンクール」は、2021年12月に箕面市でアマチュアピアノ部門と世界初となる「左手演奏用の作曲部門」を設けて開催する計画という。